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労働なんかしないで 光合成だけで生きたい

皆さんは労働と光合成、どっちがしたいですか?

今回はスガシカオのアルバム「労働なんかしないで光合成だけで生きたい」の全曲レビューです。

分かりみしかないタイトルからは内容は全く想像できないと思いますが、すごく良いアルバムです。

スガシカオは数年前から打ち込みを多用するようになって、一時期はサウンドがだいぶエレクトロになっていましたが、今回のアルバムはバンドのカッコよさを感じられるサウンドでした。

特に今までのアルバムと比較してもリードギターがカッコいい曲が多い印象でした。

 

  • 1. 労働なんかしないで 光合成だけで生きたい

インパクトある曲名ですが、スガシカオらしいファンキーでカッコいい曲です。

冒頭からギターのリフがファンキーでカッコいいです。太い音色が曲に合っているし、歪みの感じも好きです。

サビのスライドや終盤のリフの発展形フレーズも凄くかっこよくて好きです。

間奏では音色を変えて、カッティングを交えたギターがブラスと上手いこと絡んでて良いんですよね。

ベースも所々跳ねたりかっこよくて、1番と2番の間の間奏等の見せ場も素敵です。

クレジットを確認して、スガシカオ本人がこのベース弾いてることを知って驚きました。

この曲の曲名はBメロの歌詞として登場しますが、このパンチラインをこんなにかっこよくリズミカルにメロディーに乗せられるのかと感動すら覚えます(笑)

2番のBメロがすごくかっこよくて、特にリズム隊が良いので是非注意して聴いてみてほしいです。

歌詞でいうと "「あなたは神を信じますか?」 いやまだ見たことがないです" という部分が面白いなと思いました。

あんまり「神を信じますか?」って問いに「見たことない」って答えないですよね(笑)

ちなみにこの曲は働きたくないというテーマではなく、自分が幸福かどうかは自分でしか決められないということだそうです。

 

  • 2. 遠い夜明け

すごくスガシカオっぽいメロディーだなと感じます。全部そうなんですけどね(笑)

どのアルバムに入っていても馴染みそうな気がするんですよね、この曲。

Aメロのコード進行とメロディーがこの曲で一番好きな部分です。

ベースラインやパーカッションの音も好きです。

一曲目に比べると少しテンション落ち着いた曲ではあるんですが、リズムやブラスにファンクを感じるし、間奏ではファンク感が一層強くなるのもカッコいいです。

間奏のブレイクがマジでクールなんですよね。ブレイク後のブラスも好きです。

夜に聴きたいタイプの曲だなと思います。スガシカオの曲はほとんどそうなんですけどね(笑)

歌詞の内容も悶々とした夜にピッタリで、特にサビの歌詞が優しくて好きです。

例えば傷つき 泣いて眠る夜も 君のことを 誰かがみまもってる

ぼくらが強敵に 立ち向かう朝も 君は一人じゃない 誰か見ていてくれる どっかで

これは2サビの歌詞です。1サビの歌詞も素敵なので是非読んでみてください。

 

  • 3. あんなこと、男の人みんなしたりするの?

これまたインパクトのあるタイトルですよね。女性目線の歌詞だと思います。歌詞の一人称が"わたし"だし。

出だしの感じからしてダークな雰囲気の曲かと思いきやサビでメジャーになります。テンポは前2曲に比べて遅めです。

ここまで3曲、全部違うタイプのファンクって感じで、ファンクの中でもここまで幅を振れるのが凄いと思います。

1番後、2番後、ラスサビ後のそれぞれの間奏が特にファンキーだと感じます。

ラスサビ後には"I hate me I hate you"みたいなコーラスが入るんですが、歌詞カードに載ってないのでそこが気になりますね。

サビの直前から凄く歪んだギターの音が入ってくるのが印象的だなと思います。

あとビートもわりと強めで、テンポ感といい重たくなりそうなんだけどブラスが華やかで、重くなりすぎないバランスですね。

 

  • 4. am 5:00

ここで曲調はガラッと変わります。音数も少なくなって落ち着いた曲です。

さっきの曲の歪みが強めだったのでそのギャップもすごいです。

イントロの感じとか不穏な感じがしますが、不穏な曲というわけではないです。

ギターが良い味出しすぎてて好きです。

リズム隊が控えめなのと、楽器の数が少ないからギター超目立つというか歌とギター中心です。

2番が終わった後の間奏やアウトロのギターがめちゃくちゃカッコいいので、聴いてほしいです。

激しい歪みのギターソロとかじゃなくて、グルーヴ感のある大人なギターソロという感じ。ライブハウスで聴いてみたい。

 

  • 5. おれだってギター1本抱えて 田舎から上京したかった

またファンキーな曲です。これもタイトルのインパクト(笑)

タイトルからなんとなく察せられる通りの卑屈な歌詞です。

テンポは速くない曲です。ビートを刻むのが生ドラムかそうじゃないかって結構曲の雰囲気に関わりますね。

この曲は生ドラムで、バンドのかっこよさを感じます。とはいえ打ち込みの音も入ってくるのがスパイスになっています。

この曲もギターがカッコいいです。こっちは歪んだギターです。

サビやアウトロのフレーズが特に好きです。音色も良くて、間奏の発振している感じも良い味出ているなと思います。

この曲と4曲目は田中義人さんという方がギターを弾いているそうです。

ちょいちょい入ってくるブラスの感じも好きです。

 

  • 6. ドキュメント2019

ドキュメントシリーズは2000、2010に続く3作目です。どれも違った雰囲気で面白いです。

今回の曲調はディスコです。そうきたか!という感じ。

この曲はラップでMummy-Dが、ベースでハマ・オカモトが参加しています。

このアルバムの中でも楽しみにしていたんですが、期待を越えてきました。

メロディーがとてもキャッチーで今作で1、2を争うレベルで好きです。

ディスコのストリングスが大好きな僕としては、この曲のストリングスにはテンション上がらざるを得ないです(笑)

ベースは結構堅実なオクターブですが、存在感があるし音色も安心する感じ。

ギターがこの曲もカッコいいです。ディスコといえばやっぱりカッティング!左右のギターの絡みも最高です。

2番が終わった後のラップパートのバックの演奏がカッコよすぎます。

一つのリフを繰り返すんですが最初はギターとワウギターのユニゾンで、ベースが加わりストリングスが加わるという段々盛り上がってくる感じがめちゃくちゃ良いです。

このパートの終わり方もかなり好きです。ラップと演奏がマッチしていてグルーヴ感がアツいです。

この曲歌詞も好きなんですよね。

おれこう見えてクールなフリで 変に頑固でぶきっちょ 流行歌手やロックヒーローにも なれないただの天才

という歌詞と

おれこう見えて作戦なしで 出たとこ勝負の20年 安全地帯でぬくぬくしてるの 一番苦手なタイプ

という歌詞と

おれこう見えてサングラスなしじゃ 実はヘタレなチキンボーイ ひとりの夜の誰かに歌を届けたい それだけ

という歌詞が特に熱い。Mummy-Dのラップにも「ドキュメント2010」の歌詞の引用があったり、"澄まし顔"でスガシカオと韻を踏んだりしていて粋です。

 

  • 7. スターマイン

再び落ち着いたバラード曲です。今までの曲と比べてデジタルっぽい音が多いですが、アコースティックな雰囲気があります。

曲の始まりの方はデジタル感が比較的強めなのでそういう曲かと思いきや徐々に音が増えてサウンドの雰囲気が変わっていきます。

ストリングス等の優しい音が温かくて良いですね。

きれいで切ないメロディーも好きです。

「出勤や登下校のときに聴いて良い気分になれる曲」を作ってみようということで作った曲らしいです。

確かに家に帰りながら聴くと疲れた心と体を優しく包んでくれそうです。

この曲に限ったことではありませんが、小説みたいな物語性のある歌詞がスガシカオの魅力の一つだなと思います。

そういう曲を作るアーティストは他にもいますが、スガシカオの場合大抵は情景は浮かぶけど物語の全貌を書いてあるわけではないから、想像力を掻き立てられます。

この曲は一行目の"いつもは誰もいない堤防に登った"という書き出しから引き込まれます。

 

  • 8. 黄昏ギター

この曲もミドルテンポです。

スガシカオといえばプロフェッショナルのテーマ曲「Progress」のイメージが強いという人も多いかもしれません。

この曲は「Progress」を演奏するバンドkokuaのメンバーが集結しています。

さっきの曲のビートが打ち込みだったからか、この曲はドラムを、バンド感を強く感じます。始まりがドラムだからというのもあるかもしれません。

ストリングスの存在感もこっちの方が大きいです。

ミドルテンポの曲が続いてもサウンドの違いがあるのでマンネリ感がないです。

ちなみにこの曲も想像力を掻き立てられる歌詞です。

夕方に聴きたい曲です。

 

  • 9. マッシュポテト&ハッシュポテト

ファンクに戻ってきました。クラシックなファンクらしいです。こういうの本当に好き。

このアルバムではキーボードをあまり使わないように決めていたそうですが、この曲では比較的存在感がある気がします。

ベースがめちゃくちゃかっこいいんですよ。僕は今作の中でベースラインだけでいうとこの曲が一番好きかもしれないです。

あとドラムがサビ前毎回カッコいいです。ブレイクを挟むのがクール。

ブラスもすごく良いです。2番後の間奏とか特に大活躍してますね。間奏のサックスの黒い感じが最高です。

アウトロのギターソロもカッコいいです。ここ数年アウトロが長い曲が好きなのでこのアウトロすごく好みです。

この曲のサビのコード進行が好きなんですが、アウトロも同じコード進行です。

 

  • 10. 深夜、国道沿いにて

このアルバムの最後はミドルテンポの3拍子の曲です。こういうメロディーに"苦味"みたいなものを感じる曲がここ数年で好きになりました。

明るいのか暗いのかよく分からないこのイントロ好きです。

コード進行も全体的に好きです。

リズム隊のグルーヴ感がエモいです。

なんといっても1番が終わった後のギターソロがすごく好きです。ブルージーと言うのか、渋くてカッコいいなぁとリズムにゆったり乗っていると2番の歌い出しの歌詞が衝撃的でびっくりするんですよね。

しかも間奏明けはアコギと歌だけになるので余計に歌詞が入ってくるんです。絶対に狙ってやってると思うんですけど。

さらに実話だと知って余計に衝撃を受けたんですが、確かに思い出すような過去形で書かれています。

歌詞の最後が "深夜 国道沿いにて" と、タイトルで終わるので綺麗に終わったなって感じがしました。

 

このアルバムは2019年リリースで、なぜ今更記事にしたんだと思うかもしれませんが、実はこの記事去年から書き始めていたんです。

アルバムをたくさん聴いて、よし書くぞってなってからやる気とかタイミングとか気分とかで書き終える迄に1年以上掛かってしまいました。

スガシカオ本人がこのアルバムについて最先端っぽさはあまり無いと言っていますが、アップデートしているのは感じられます。

僕はスガシカオの曲はムシャクシャした夜とかに聴くのが一番適していると思うので、皆さんもそんな時には是非このアルバムを聴いてみてほしいです。

あと、光合成をしたくなった時にも良いと思います。

 

〈参考Webページ〉

スガ シカオ|ニューアルバム「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」スペシャルサイト

スガシカオ「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」インタビュー|十字架から解き放たれた先に - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

スガシカオが語る、アルバム名に込めた真意「幸福感は十人十色」 - インタビュー : CINRA.NET