HUMANIA
小学校3,4年くらいから毎年1~2枚くらい誕生日とかにCDを買うようになり、僕が初めて買ったNICO Touches the WallsのCDは「HUMANIA」(2011)でした。
それまではレンタルで済ませたりしていたニコのCDをとうとう購入に踏み切ったんですよ(笑)
もう10年前になるんですね…!
今日はイイニコの日ということで、NICO Touches the Wallsの4thアルバム「HUMANIA」の全曲レビューです。
- 1. Heim
この曲はニコ史上最短?の曲で、2ndアルバムの「オーロラ」も短い曲で始まっていましたが、それより短いです。
アコースティックなサウンドのゆったりとしたシンプルな曲です。
12月リリースのアルバムの1曲目ということで、僕はこの曲を聴くとすごく冬を感じます。
シチューのcmとかをイメージして作ったらしいので、冬を感じるのもあながち間違ってないかも。
- 2. 衝突
このアルバムの中でもかなり好きな曲です。本当にかっこよくて、生で聴きたかったなと悔やんでいる曲の一つです。
1曲目とはうって変わってギターサウンドのロックなんですが、絶対ビックリさせようという意図があるだろって感じの始まり方です(笑)
でもこのイントロがすごくカッコいいんですよ。3段階に分けられるイントロで、①最初のインパクトのある部分と、②声がイントロのメインになる部分と、③リードギターのオクターブのフレーズの部分で構成されています。
①はギターはもちろん、ドラムもカッコよくて好きです。動く方のギターは光村さんのパートだと知って驚きました。Bメロでは歌いながらこのフレーズを弾いているからスゴい。
②の部分も斬新というか、こういう曲で声がメインになるイントロは珍しい気がします。
ニコの曲はリードギターとバッキングの絡みがよくできているなと思うことが多いですが、この曲もそうです。
Aメロのブリッジミュートのフレーズとか、2パートでコードを作るような形になっていて面白いです。
それぞれのパートが単音を弾いていて、パンが左右に振られていますが、ちゃんと和音に聴こえるんですよね。
Bメロはギターが3パートありますが、ライブでは古村さんはノイズ的なパートを弾いているようです。
そしてこの曲は、ギターをやっている人だったら憧れない人はいないんじゃないかってくらいカッコいいギターソロが炸裂します。
チョーキングでソロが始まるところからもうカッコいいんですよ。サビの直後に入ってくるという入り方もいいですね。
ギターのことばかり書いてしまいましたが、リズム隊もカッコいい曲です。
ドラムの躍動感も、相変わらずよく動くベースも好きです。
落ちサビとラスサビの間に、ベースがハイポジションに上がってくるところもめちゃくちゃ好きです。
- 3. バイシクル
僕がこのアルバムを買おうと思ったのは、ラジオで聴いたこの曲がすごく好きだったからです。
イントロのリフがなかなか印象的ですよね。
僕が好きなのはBメロのギターのカッティングです。僕はカッティング大好きマンなんですが、この骨太なザクザクとしたカッティングも気持ちいいですね。
サビ前の部分もそうですが、バンド全員のフレーズが揃う部分なので、バンドでコピーした時もそこがすごく楽しかった思い出があります。
あと、2番のサビの後の間奏も好きです。リードギターがフランジャーを掛けてオクターブ奏法するところです。
実は僕は結構フランジャーが好きなんですが、使いどころを選ぶエフェクターではあると感じます。
この曲の疾走感にはピッタリ合っていると思います。
メロディーがポップで爽やかな曲ですが、光村さんいわく「カラッと明るいなかで、めちゃくちゃ怒っていたいなって思った」だそう。
歌詞の内容的には、悶々とした気持ちをチャリに乗ってぶっ飛ばそうとしている感じの曲です。
- 4. カルーセル
明るい曲から一転してマイナー調ですが、ダンサブルなノリの曲です。
こういう四つ打ちのダンス系のノリはニコにしては珍しいですね。というか、この曲が出るまでそういう曲は出していなかったような。
メロディーは歌謡曲っぽさを感じます。
エレクトロなサウンド感もニコとしては珍しいですね。
ただエレクトロとは言っても打ち込み無し、シンセ無しらしいと知って驚きました。
ライブではさすがにシンセとかシンセパッドとか使ってたみたいですが、レコーディングでは打ち込みっぽい音は全てギターで出しているようです。
古村さんはライブでもよくエフェクターを駆使した効果音的な不思議な音を出したりしていて、すごく音が多彩なのが活かされているのかもしれません。
たくさんの音が重なっていて、パンが左右に振られているので、イヤホン等で聴くとより楽しめると思います。
また、この曲はバッキングにアコギを使っているのが面白いなと思います。
ダンス系の曲はリズムが肝だと思うんですが、僕はこの曲だと特に2番の後の間奏からCメロのドラムが好きです。段々盛り上がっていくところがテンション上がります。この曲のドラムは全体的にカッコいいですけどね。
この曲のベースの音色も好きです。
こういう曲はライブでどうアレンジされるのかというのも楽しみの一つで、ライブ版ではタッピングのフレーズが追加されたりと、よりカッコいい仕上がりになっているように感じました。
これも生で体感すると楽しかっただろうなと思います。
- 5. 極東ID
ガッツリとブラスが入ったジャジーな曲です。
メンバーの楽器よりもブラスが主役って感じのサウンドです。ただ、耳をすませばメンバーのパートが渋カッコいいんですよ。
この曲もニコとしては新境地ですよね。当時高校生だった僕は、この曲の大人っぽさに魅力を感じて気に入っていました。この曲のメロディーもすごく好きです。
若いバンドがやるお洒落で軽快な感じとかじゃなくて、もっと渋くて黒いやつなのがニコらしさを感じます。
明確なルーツやイメージがあったからこそ、そうなったんでしょうね。
そこら辺の話はこちらのインタビューに書いてあったので興味があれば読んでみてください。
僕は桑田佳祐のイメージなのかと思っていたんですが、違うみたいですね。でも、歌謡曲的なメロディーの感じとか通じるものがある気がします。
ニコは聴いてきた音楽の幅が広く、生み出す音楽の幅も広いなと改めて感じます。
光村さんがどんな曲でもモノにしてしまうパワーを持ったボーカリストであり、他のメンバーも幅広いジャンルに対応できるからこそそれが成り立つんでしょうね。
- 6. 恋をしよう
メロディーもサウンドも歌詞も甘い感じの曲です。
山下達郎からのインスパイアらしいです。
カッティングが多いところとかがその影響なんでしょうね。
この曲もキーボードが入っていて、ギターソロの後はキーボードに引き継ぐという形になっています。
コード進行とかコーラスを含む和音はオシャレなんですが、それを上回るほど"甘い"イメージがあります(笑)
歪みやリバーブ等が、甘い雰囲気を感じさせるんでしょうか。
ニコのミドルテンポの曲はもっと暗い印象の曲が多いようなイメージがあるので、この曲も新境地といえばそうなのかも。
- 7. Endless roll
このアルバムで唯一坂倉さんが一人で作詞作曲を手掛けた曲です。
前のアルバムの「マトリョーシカ」も坂倉さんの曲でしたが、全然違うタイプの曲ですよね。
僕はこの曲はじわじわと好きになっていきました。
音域が広い曲で、Aメロは低めの音で入ってBメロから徐々に高音になっていきます。音域のせいか、サビに向かって徐々にひらけてくる感じがあって、そこが好きなところです。
メロディーでいうと、ラスサビでそれまでのサビとメロディーが少し変わるのも好きです。
この曲は結構歌詞も好きです。
"リアルなんてこんなもんだ" という歌詞がラスサビで "リアルなんてこれでいいんだ" に変わったり、日常に閉塞感とか焦燥感を感じていたところから少し前向きになるという内容です。
大きく分けると「バイシクル」と同じテーマを歌っていると言えるかもしれません。作り手が変われば曲も全く変わりますね。
映画の主題歌ということで、エンドロール→エンドレスロールなんでしょうね。
- 8. 業々
これまた全然違うタイプの曲で、ポップに寄りつつ様々な曲があるこのアルバムの中で異彩を放つハードなロックナンバーです。
ディストーションのザラザラした歪みの音が気持ちいいです。
ギターソロではバッキング以外に3つのギターが重なるという特殊なものになっています。
ダイナミックで力強いドラムもカッコいいです。
この曲はベースもだいぶ歪んでいて、例のごとくよく動く(笑)
全パートが荒ぶっていますね。
構成も変わっていて、1番の後ギターソロがあって2番があります。
ワンコーラスの構成もなんだか特殊なのですが、どう区切っていいのかあまり分からないので誰か教えてほしいです。
光村さんは歌詞の乗せ方が洋楽っぽい感じで、1音に1音節以上の歌詞が乗っていることが多いです。(そのせいか、なんて言ってるのか分からないことが多いけどw)
この曲だと、"毎度使い分ける 甘い声のトーン" というところとか顕著ですね。
この曲ではたくさん韻を踏んでいて、言葉が聞き取れなくてもなんか音が面白いと感じます。
- 9. demon(is there?)
このアルバムの中で1番エモーショナルな曲だと思います。
スケールが大きくてダイナミックなパワーのある曲というイメージというか。(横文字過多)
どれくらいスケールが大きいかというと、最初のサビに入るまで2分半かかるほどです(笑)
曲の長さもこのアルバムで1番長いです。
曲の構成は解釈の仕方によって少し変わるところもありますが、
Aメロ、Bメロ、Aメロ、Bメロ、サビ、ギターソロ、Aメロ、Bメロ、サビ
ボリューム感というか盛り上がりを後半の方に持ってきていて、攻めた構成になっていると思います。
ギターソロも序盤はロングトーンで、段々音が細かくなって最終的に弾きまくりのすごいギターソロが炸裂します。
このギターソロもカッコいいですよね。
ソロの後は2番のAメロなんですが、1番では8ビートだったリズムがここで16ビートに変わって、リズミカルになります。
その後のBメロでは落ちサビ的な静かなアレンジになって、ラスサビに向かって盛り上げていきます。
この辺の緩急の付け方エグいですね。
これ生で聴いたらすごい感動するだろうな。
- 10. 手をたたけ
NICO Touches the Walls 『手をたたけ』 - YouTube
ニコが広く知られるようになったきっかけの曲の1つですね。
ブラスとストリングスがガッツリ入っており、ポップなメロディーがとてもキャッチーです。
派手な味付けがしてあるので、メンバーのパートは割りとシンプルな感じです。
すごくポップな曲だなぁと思ってずっと聴いていると、段々ニコの内側にあるロックンロール魂みたいなものも垣間見えてきた気がします。
例えば、"酸っぱいのぶちかまそう"の後のEaugというコードとか、ギターソロとか、Cメロとか。ポップなだけじゃなくてカッコいい部分がたくさんありますよね。
僕は結構この曲のリードギターが好きで、メロの隙間に入ってくるオブリガードとか好みの感じなんです。
そして何よりこの曲のギターソロが好きです。これめちゃくちゃかっこよくないですか?
スライドインしてくるところからカッコいいですよね。
古村さんのギターソロは音域を広く使いがちなんで、縦移動をしつつローポジションからハイポジションまで大移動するんですよ。この曲もそうなので、僕もギター初めて1年くらいで練習してみたものの、すぐに諦めました(笑)
他にこの曲の好きな部分はCメロです。コード進行と、ダーラダララッ ダダダーっていうフレーズも好きです。
あとラスサビのストリングスのテッテッテッテッってなるところも王道なアレンジですが好きです。
メロやオケはとても明るいけど、歌詞はめちゃくちゃ明るい訳ではないですね。"願う日は来ないけど"って歌ってるし。
"泣きっ面にマヨネイズ"なんてフレーズが出るのも凄いと思います。
"今日を歌え そして明日を唸らせんだ 去った僕の音楽よ 戻れ"という部分は、それまでのメロディーの変化と歌詞の乗せ方など込みで好きな部分です。
「バイシクル」の歌詞が出来たのもこの曲によって得たものが大きいようです。
- 11. 手をたたけ(NICO edition)
ブラスやストリングスが入っていないバージョンで、ライブでもこのアレンジに近い感じで演奏されます。
ただブラスやストリングスを抜いただけではなく、コーラスが増えていたりします。
連続で収録されているので比較がしやすいですね。
こっちの方が歪んで聴こえるのはブラスとストリングスが抜けたからではなく、歪みの量を増やしていますよね?
より歪んでいるので、音色はこっちの方が気持ちよく感じます。
NICO editionというだけあって、4人の音の存在感がしっかりあるなと思います。
さっき書いたロックンロール感みたいなものはこっちの方が分かりやすいですね。
ギターソロはオリジナル版の方が好きです。
以上「HUMANIA」の全曲レビューでした。全体的にギターのことばかり書いてしまいましたが…。
前作の「PASSENGER」から8ヵ月でリリースというのがスゴいですよね。
1年に2回もフルアルバム出すアーティストなんてほとんどいない気がします。
メンバー4人以外の音が入っている曲が多くて、前作からガラッと雰囲気が変わっています。
常に変化しながら良い曲を作り続けていたことが本当に凄いと思います。
このアルバムは僕が高校でバンドを始めた年に買いました。より深く音楽を好きになっていったのが高校時代だったので、ニコが僕に与えた影響ってすごく大きなものだったなと、今回のレビューを書きながら改めて感じました。
〈参考webページ〉
NICO Touches the Walls 『HUMANIA』 - TOWER RECORDS ONLINE
“だって僕らはロックンローラーですから” NICO Touches the Wallsインタビュー - 週刊アスキー
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