映画「あの頃。」を観ました
タイトルにあるように、映画「あの頃。」を観ました。
選挙の日に「ザ☆ピース!」を思いだし、この映画の予告編で流れてたのも思い出したのでこのタイミングで配信で観ました。
心に残る作品だったので、今回は劇中で流れた曲を語りつつ、映画の感想も書いていきたいと思います。
ネタバレもあると思うので、これから見ようと思っている方は注意してください。
主人公の劔(演:松坂桃李)がスタジオでバンド練をしているところから物語は始まります。
そこでバンドメンバーの1人から練習不足だと怒られ、「楽器だけ良いもの持ちやがって。お前にフェンダーは100年早いんじゃ」とか言われるんですが、僕もフェンダージャパンのギターを使っているので、こんな風に言われるとへこむよな…と妙に共感してしまいました。(言われたことは無いけど)
映画ではそんな落ちた状態の劔を心配した友人が、パチンコで取ったあややのMV集を「これ見て元気出せ」とプレゼントしてくれます。
そして「桃色片想い」のMVを見てあややとハロプロにハマっていくわけです。
王道アイドルソングなこの曲ですが、つんく♂さんがnoteにて「僕はいつもロックの概念で曲を作り続ける。桃色片想いもJ-ROCK的なシンコペーションの多い鋭いビートの曲」と言っているのを読んで、確かにロックな要素もあるなと感じました。(シンコペはこの曲マジで多い)
そもそもイントロのギターのリフとかもロックな感じですもんね。甘い曲にロックなリフを組み合わせるのはJuice=Juiceの「初めてを経験中」でもありました。
そう思って聴くとちょっと古い時代のロックとかにルーツがあるようなサウンドですよね。
この曲は歌詞やフレーズ等にとにかくフックが多い印象です。
出だしの "あ、行くよ!あ123!" とか、"あの人には は は は は は は は" とか、"夢にだって出ちゃってきちゃいます" という言い回し、"「こんちは」即「さよなら~」" とか、間奏の "あーや あやややややや" とか、ラスサビ前の "ピーチ!" とか。
この曲で僕が一番秀逸だと思うのが "胸がキュルルン" という歌詞です。キュンキュン とかじゃなくて キュルルン なのがなんか良い。
映画だからなのか実際にそうだったのかは分かりませんが、桃片のMVで衝撃を受けてすぐにCDショップに走り、店主からハロヲタのイベントを紹介され、出会った仲間とさらにその先へ…
というハロプロとの出会いから沼落ちまで一瞬過ぎて笑いました(笑)
ハロヲタの仲間(恋愛研究会。)と出会ったことでCDやDVDを借りたりヲタ活が充実したというのは良かっただろうと思います。何より、同じ趣味を同じ熱量で語れる仲間に出会えたことは幸せですよね。
劇中でヲタが語るのが、Berryz工房の「あなたなしでは生きてゆけない」は大人っぽい曲を子供に歌わせるのが実験的で凄いみたいな、とても共感できる内容でうなずきながら観ていました(笑)
ハロプロを知っていると、劇中に出てくるポスターとか細かいところも楽しめるので、この映画を一番楽しめるのはハロヲタだなと思いました。
出てくるポスターとかラジオ音源とかよく集めたなという感じでした(笑)
でも非ヲタの人がロマモーのヲタ芸を見てドン引きする場面とかあったし、ハロヲタ以外はやっぱりキツイかも(笑)
原作者の劔さんも劇中の恋は呆気なかったですが、現実ではハロヲタの妻に出会えて良かったと思いました。
誤解が無いように言っておくと、この映画はハロプロが仲間との出会いのきっかけで、メインは仲間との青春ですから。リアルなハロヲタ描写への理解の差はあれど、本筋に関しては誰でも理解できるような普遍的なテーマだと思います。
劔が劇中で、学生とは違って大人には卒業は無いと言っていましたが、それでも夢を追って上京したり環境は変化して、気の合う仲間と繋がりはあれどずっと一緒ではなくなっていった様子を見ると、なんだか無常を感じました。
最後の方では、時間が飛んでさゆの「10代可愛い、20代超可愛い、30代超超可愛い。常にピークです。」という名言について話していました。
その名言が無常について語っているような、無常との対比になっているような感じがして、そこにこの名言を脚本に組み込んだ意図があったのかなと思いました。
劇中で、主人公がハロプロや恋愛研究会。の仲間と出会った後、度々「今が1番楽しい」と口にします。
今が1番楽しいと何度も言える人生って素敵だなと感じました。(人生というか主人公の感性)
この映画で最もフィーチャーされている曲が「恋ING」です。
恋愛研究会。のメンバーでバンドを組んでカバーしたり、EDでも流れます。
この映画は、恋愛はテーマではないですが、この曲が主題歌なのはバンドでカバーした思い出の曲だからなのかと思っていました。
まぁ実際そういう理由もあるだろうし、そう思うととてもエモいです。
しかし、先ほど挙げた主人公の「今が1番楽しい」というセリフとこの曲の"人生つまんないって時期もあった"という歌詞が対比になっていると思います。
「恋ING」は久しぶりに恋をした女の子が恋に夢中になっている様を歌った曲です。
劔がハロプロと出会い夢中になったことともちょっと重なるところもある気がします。
深読みかもしれませんが、そんなこんなで主題歌になったのかなと。
カップリングながらめちゃくちゃいい曲ですよね。
久しぶりの恋を歌った歌だけど、メンバーが若いからか甘酸っぱい感じがすごくします。
イントロのピアノの音も軽すぎず重すぎずの絶妙なトーン。
Aメロ、Bメロ、サビと、オケが分かりやすく徐々に盛り上がっていく曲ですね。Aメロなんかベースも入ってなくて本当にシンプルです。
2番が終わるとキーが下がって間奏に入ります。ラスサビで元のキーに上がって更に盛り上がりを作るための布石ですね。
ここの間奏のギターのちょっと太めで歪んだ音色が好きです。
ピアノの旋律の間にギターが入ってきて、ピアノとハモって最後はユニゾンになって落ちサビに突入する流れが好きです。
この曲は結構ベースラインが動くんですよね。サビではちょっと跳ねたりしていて聴きごたえがあります。
つんく♂さんはミディアムテンポのバラードでもリズムが跳ねていて、しっかり刻む系の曲を作りますよね。「なんにも言わずに I LOVE YOU」とか。
映画のエンドロールで恋INGが流れると、改めていい曲だなと思ったし、映画を見た満足感とかも乗っかってすごくエモかったです。
映画を見終わって、ドラマや映画でよく見る名バイプレーヤーが集まってハロヲタを演じてくれただけでももうこの映画は成功だと思いました(笑)
僕はシンケンジャーが大好きなので松坂桃李が劔役を演じてくれて嬉しかったし、娘。のコンサートに参加したり、しっかり役作りをしてくれたことも嬉しかったです。
松坂桃李があややの中学の後輩という情報も、この映画がなかったら語られることはなかったかもしれないですね(笑)
そういえば、映画の後半ではまさか松坂桃李の口からBEYOOOOONDSという言葉が出るとは思わず、驚きと共に喜びがありました(笑)
この作品の映画化のタイミングであややに似た夢羽がハロプロにいるというのも奇跡ですね。
握手会のシーンはハロメンが演じることでハロヲタも納得できますから。
この映画は青春を描いたものですが、登場人物がおっさんだからかヲタだからか爽やかではないんですよね(笑)
わりと淡々と進んでいくノンフィクション映画ですが、登場人物と自分にいくつか共通点があるからか、心に残りました。
あの頃を思い出すように、時々見返したい映画だと思いました。
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