~語りたいっ!!~

好きな音楽を語りたい。この感動を共有したい。

Patrick Vegee

なんかグチャッとしてんだよな

このブログのことですかね。

ということで、前回のアルバム「MODE MOOD MODE」から2年8ヶ月経ってリリースされたUNISON SQUARE GARDENのニューアルバム「Patrick Vegee」について書いていきます。

 

「MODE MOOD MODE」の曲や「春が来てぼくら」でメンバーが鳴らす以外のストリングスやブラスの音が入っていましたが、このアルバムでは3人の音を重視して作られています。

だからなのか、いつも以上に勢いが激しいような…。

また、このアルバムはシングル曲の前に収録されている曲のラストフレーズに、シングル曲の導入となるような歌詞があり、シングル曲への流れが綺麗です。

しかも、その曲もただの導入のためという訳ではなく非常に良い曲で、これをこの流れを作るために逆算的に作ったと考えると恐ろしいです。

前回のアルバムの時に、シングル曲が違って聴こえるように曲順や曲間にこだわったということでしたが、今回はもうひと工夫していて流石だなと思いました。

サブスクの時代になり、プレイリストで曲を聴く人が増え、曲順があまり関係ない時代でアルバムという形の存在意義も薄れていく中でのこの工夫は素晴らしいと思います。

 

  • 1. Hatch I need

7枚目がnano mile metだったので8枚目はどのように入れてくるかと思っていましたが、こう来たか。

うねる怪しげなベースから始まる1曲目はダーク感のあるロックナンバー。

ニゾンらしい音を詰め込んで休符の少ないメロディーと、リズムが良くて何言ってるのか分からないけど口の悪い歌詞にファンとしてはワクワクが止まらない最高の幕開けです。

ベースがなんかクールでカッコよくて好きです。Aメロでギターが鳴っていないし、Bメロもギターの休符が多いからよく目立ちますね。

ドラムは相変わらずテクニカルでトリッキーな感じ。

 

  • 2. マーメイドスキャンダラス

1曲目の後に間髪入れずに流れ込むこの曲は疾走感のあるマイナー調のロック。

すごくキャッチーなメロディーで、テンポ感といいアニメタイアップが付いていてもいいような良曲です。

この曲の好きな部分はサビのリードギターです。理由はカッコいいからです。

あとユニゾンのドラムってどっかのタイミングでネジ落っことしましたよね?ずっと聴いてるから麻痺してきたけどいつからこんなになったんでしたっけ(笑)元から凄かったけど凄すぎでしょ。

間奏の部分は繰り返すギターのフレーズに乗せて、ベースとドラムが変化していくことで盛り上がっていくという珍しい形です。特にドラムがエグいですね。

 

  • 3. スロウカーヴは打てない(that made me crazy)

この曲はリフの感じから「デイライ協奏楽団」や「メカトル時空探検隊」系のポップロックンロールだなと感じました。

メロディーも凄くキャッチーだし、この手の曲調も洗練されてるなぁと思いました。

カウベルの音がかわいいですね。

ラスサビの畳み掛けが凄く好きです。メロディーが好きというのもあるし、各パートの動きも好きな感じなんですよね。

BメロとCメロで7拍子になるトリッキーさとかはユニゾンらしいひねくれた感じだと思っていたところ、どうやら理由があるようで。

オマージュ元のthrowcurveというバンドの曲を聴くと府に落ちる事が山ほどありました。(田淵が好きそうなテイストだなというのが第一印象。)

最初に「表現は自由(that made me mad)」という曲を聴いたのですが、まずタイトルにオマージュあり。

それから "Pop music" や "Rock festival" などの歌詞と、その部分をユニゾンにするというオマージュ。

そしてオマージュ元は間奏が7拍子だったので変拍子はおそらくここから来ていると思われます。

次に「連れてって」という曲を聴いたところ、ギターリフがガッツリオマージュであることが分かりました。

オマージュは他の部分にも色々あるかもしれませんが、こんなにガッツリ入れてくるんだという驚きがありました。

色々書きましたが、要するに好きです。

 

  • 4. Catch up, latency

"レイテンシー埋めています" という前曲の歌詞から流れるようにこの曲が始まります。

テンポが違う曲同士ですが、前曲のラストフレーズからこの曲のイントロに入るリズムが気持ちよく、計算されてるなぁと感じます。

この曲は疾走感のある爽やかな曲です。各パート勢いがあって力強さも感じます。

イントロのアルペジオの後の音はヘッドピーンですかね?ロックな音出てますよね。

僕はこの曲のハモりが凄く好きで、特に好きなのは"疼くのも面倒だな"と"風なんかは吹いてないのに"の部分です。上ハモが気持ちよく、爽やかな感じがします。

この曲のコーラスは上でハモったり下でハモったり、Bメロではオクターブ下でユニゾンしたりするので割りと複雑です。

この曲はメロが多くて、1コーラスが{Aメロ、Bメロ、Cメロ、サビ}で構成されています。

ギターソロの尺も割りと長めですし5分弱という曲の長さですが、1番と2番で違う事をしていたり、そもそも1コーラスで展開が多いから飽きずに聴けます。

演奏する方は大変だと思います。絶対疲れる(笑)

 

ノリが良い曲が続いていたところで、この曲で空気が変わります。

前の曲とも少し曲間が空いてこの曲になるのがちょっとライブっぽい。

空間系をかませたギターのブリッジミュートから始まり、しばらくギターボーカルのみで緊張感のある始まり方だなと思いました。

その分3人の音が重なったときの爆発力が凄いです。

シリアスでダークな感じだから、ライブでもこの曲が始まったらドキッとするだろうと思います。

短い曲で終わり方が不思議な感じですよね。

 

  • 6. 夏影テールライト

こういう曲に続くの?というまさかの展開です。前の曲とは打って変わって綺麗な曲です。

激しい曲が続いていた中でのこの曲なので、凄くギャップを感じます。次の曲も激しいので清涼剤みたいな感じがします。

ギターの音が綺麗で好きです。

特にCメロの後の間奏の音が好きです。高音でもキンキンせずに気持ちいいです。

攻撃的な歪みの音も好きですが、こういう抜けの良い綺麗な歪みも素敵ですね。

4つ打ちって、ユニゾンには珍しいような。ダンサブルと綺麗が共存するのって不可能じゃないけど難しいと思うんですが、この曲は絶妙ですね。

ライブだと照明が綺麗なんだろうなという気がします。

ラストフレーズの "ジョークってことにしといて。" で次の曲に繋がります。

 

  • 7. Phantom Joke

初めて聴いたときから「なんだこの曲ムズすぎんか?」という印象が今でも続いています。

わざと難しく作ったのかと思うほど各パートがエグいですね。

曲の構成は{イントロ、Aメロ、Bメロ、Cメロ、間奏、サビ、|間奏、Aメロ、Bメロ、Cメロ、サビ*、|間奏、Dメロ、間奏、サビ*}といった感じ。

2サビとラスサビは+αでメロディーがあるのでサビ*としました。

1番と2番のBメロ、1番の間奏、2番のAメロの1周目、ラスサビ前の間奏で3拍子になります。とんでもない構成…。

2番のAメロ前の間奏終わりでドラムソロがあって、その辺りから3拍子になってるっぽいのですが、僕には分かりませんでした(笑)

ギターソロもめちゃくちゃカッコいいですよね。メロディアスだけどテクニックも見せてくる感じ。

その後のDメロで鳴ってるチョーキングも好きです。

全体的に凄すぎて引くレベルなんですが、生で見ると圧倒されそうです。

年々曲の難易度が上がっている気がしますが、ユニゾンどこまでいくんだ…。

 

  • 8. 世界はファンシー

この曲順は火力強すぎだろ。

カオスながらキャッチーさもあって、この曲をリード曲に持ってこれるのがユニゾンだなぁという感じ。

フックだらけで、サビのキャッチーな爽快感で持っていく感じが凄いです。

イントロからめちゃくちゃカッコいいし、リフもカッコいいし、ギターが弾き始めたリフをベースが引き継ぐのもなんか良い。

メロディーは相変わらず音が詰まってんなぁ。とか思っていると "あ↑ あ↓ あ↑ あ↓ あ↑ ああああ↗" とかになって「!?」って思ってたら、"こんな世界が楽しすぎる る る" からのカッコいいサビですよ。

サビ直前のドラムもめっちゃカッコいいです。

"あああああ~"の部分はなんか声重ねてるし(笑)多分田淵の声だと思います。2番ではその後"ハッピー(気だるげ)"ですから。まじフックすぎる。

しかもギターソロカッコいいんですよ。入り方もカッコいいし。ワーミーペダルが曲に合ってる感じがします。

僕がこのギターソロ大好きだからそう思うだけかもしれませんが、このギターソロ弾いてて気持ちいいだろうなぁ(笑)

ソロ明けにまたAメロBメロみたいなセクションに少し入るのが珍しい流れです。「ここで会ったがけもの道」に続いて"担当者"は依然として不在(笑)

"抜かりなさすぎる る る る るるるるる" からの落ちサビ。これもカッコいいです。

この曲に限った事ではないですが、ベースやドラムが些細なところでカッコよくて挙げていくとキリが無いです。

ベースドゥルドゥル、ドラムドコドコ、まじかっけー。

色々詰め込まれているけど、曲の長さは3分半という短さ。良い意味でもっと長く感じます。

最後の "Fancy is lonely" はMVではカットされていますよね。実はシングルだけじゃなくてここも次の曲に繋がっているような…

「弥生町ロンリープラネット」シングル化の予定とかあったんでしょうか?

 

鬼の2曲から曲調が落ち着きます。エモい曲です。

とはいえ、サビの爆発力は凄いです。サビ直前にはヘッドピーンしてますね。ドラムはほぼずっと金物が鳴ってるし。

サビの終わりでピタッとギターだけになって緩やかな間奏に入ったり、かなりメリハリのある曲だと思います。

ちなみにこの曲バッキングにはビッグ・マフを使っているらしいです。GiGSで知りました。他の曲も結構部分によってギター替えたりしてるみたいで、こだわって音が作られていることが分かりました。

この曲の構成も少し特殊で、{イントロ、Aメロ2周、サビ、間奏、Bメロ、Aメロ、サビ2周}というもの。

サビの後半とBメロと、その後のAメロのベースが好きです。

イントロ等のリフにハイハットを合わせるのは変わっている気がしますが、ユニゾンらしい気もします。

"惑星"というワードには初期の感じを連想しました。

爽やかな感じと"弥生"から春のイメージでしたが、"冬の終わり" という歌詞がありましたね。

"そしてぼくらの春が来る" からの次の曲のイントロの流れは綺麗過ぎて本当に芸術です。いっぱい拍手を送りたいです。

ちなみにこの曲は「椿町ロンリープラネット」という漫画からインスパイアを受けて書いたそうです。

調べると他にも漫画からインスパイアされて書いた曲があるみたいです。

 

  • 10. 春が来てぼくら

バリバリにストリングスが入ったこの曲をアルバム内でどう扱うかがポイントだったようで、素晴らしい流れでこの曲でした突入します。

この曲については以前他の記事に書きましたが、補足します。

13回の転調について。

この曲の構成は{イントロ、^Aメロ2周、^Bメロ、^Cメロ、サビ、間奏、Aメロ*、^Bメロ、^Cメロ*、サビ、^Dメロ、^間奏、^落ちサビ、^サビ、^アウトロ}です。

^を付けたところで転調します。それに加えて1番のAメロの1周目と2周目の間、1番のサビ後の間奏の途中、Dメロの途中で転調します。

1サビ後の間奏の転調は、イントロと同じフレーズの後のところです。そこのギターのフレーズと音色がすごく好きです。

この曲はベース音が聴きやすいミックスなのも好きかも。

改めて聴いてもめっちゃ良い曲だなぁ。

 

  • 11. Simple Simple Anecdote

すごくポップで、なんか質の良いJポップを聴いている気分にもなります(笑)

すごい好きな曲です。特にサビメロが綺麗!歌詞も好きです。

なんかめっちゃ聴きやすい曲ですよね。ユニゾンあんまり知らない人にもオススメしやすい感じがします。

「like coffeeのおまじない」「mix juiceのいうとおり」等のようなシャッフルビートの軽快な曲ですが、3人の音のみなのとタイトルから、このシリーズでは無いんだろうなというのが読み取れます。

この位置にこの短さの曲を置くアルバムってなかなか無い気がします。もっと聴きたいよ!ってなる。

イントロ、アウトロ、間奏等を一切排除した潔さが半端ないです。

ウォーキングベース大好きなので、この曲のベースもめっちゃ好きです。特に落ちサビの終わりらへんの部分。

そこのクローズドリムショットの音も好きです。

落ちサビとかだとそんなに感じませんが、色々な音が重なった時にこのバッキングの音がすごくキラキラした感じに聴こえるのが不思議。

 

  • 12. 101回目のプロローグ

"ごめん 全然聞いてなかった" という歌い出しがすごく田淵っぽいこの曲でラストです。

これライブで聴いたら絶対エモい。

5分超えの長い曲なんですが、だからこそ熱量がバシバシ伝わってくるといいますか。

この曲の構成も少し変わってますね。{Aメロ、Bメロ、サビ、Aメロ、間奏、Cメロ、間奏、Dメロ、間奏、Bメロ、サビ、Eメロ}かな?

DメロやEメロはサビやAメロの発展系だったりして、どういう構成なのかが難しいところではありますが、この構成はなかなか無いでしょうね。

曲を覚えるまでは、いつも3回目の間奏で終わりかと間違えていました(笑)

何度もある間奏がどれも良いんですよ。1回目では一度バッキングのみになって、そこから各パート大きくリズムをとりつつ、歪んだギターのロングトーンがエモいです。

2回目は再びバッキングのみから他パートが入りますが、スピード感があってドラムが荒ぶっています。

3回目の間奏はベースソロからのギターソロというカッコいい構成。ギターソロのチョーキングロングトーンからメロディアスなフレーズに切り替わると共に7拍子になります。詰め込むねぇ!

落ちサビというか完全にアカペラになる部分が長いですが、これもライブで聴きたいところですね。

ニゾンは3ピースだからこそ3人がそれぞれ一人分以上の働きをしているみたいなところもありますよね。でもこういう肝心なところで斎藤さんの歌の力に一任するというのも逆にエモいです。

この曲リードギターのパートもカッコいいからズルいです(笑)

曲の最後がリタルダンドで終わっていくのも出し切った感があって良いですね。

 

久々のアルバムリリースではあるものの、それまでに15周年記念のカップリングベストやトリビュートアルバムといった企画モノのリリースがありシングルも定期的に出ていたので、そんなに久々感はありませんでした。

改めて去年遅ればせながら書いた「MODE MOOD MODE」の記事を読み返すと、次のアルバムが意外と早く出ることもあると思うと書いていました。

まさかこんなにすぐに出るとは(笑)

「Patrick Vegee」では「春が来てぼくら」「Phantom Joke」という攻めたシングル曲が収録されています。

カップリングやアルバム曲で冒険してシングルは堅実にいくのが普通だと思うので、最近のユニゾンはちょっと逆になっているような気もします(笑)

ただ、アルバム曲にも変わった曲があるので完全に逆転しているとも言い切れませんが。

この記事を書いていて思ったことは、このアルバムは構成が複雑な曲や変拍子の曲が多いですね。今までそういうのあんまり無かったですよね。

今後どんな感じになっていくのかが楽しみですね。ユニゾンはスタイルを保ちながら引き出しを増やしていっているので、これからも悪い意味で裏切らないという信頼があります。

とりあえずタイバニの新作があるらしいのでそこで素晴らしい新曲は確定ですよね(笑)楽しみに待ちたいと思います。

 

〈参考Webページ〉

Interview - 田淵智也[UNISON SQUARE GARDEN] | ベース・マガジン

UNISON SQUARE GARDEN田淵智也インタビュー 『Patrick Vegee』と「15周年以降のユニゾン」を語る|レジー|note