Thank you, ROCK BANDS!
今回は7月24日に発売されたUNISON SQUARE GARDENのトリビュートアルバムの全曲レビューを書いていきたいと思います。
もともと書く気は無かったんですが、なかなかよかったので。
どのアーティストもメロディーをガラッと変えるような事は無く、トリビュートアルバムって1曲くらいガッカリカバーが入っているイメージでしたが(笑)そんなことは無かったです。
1曲目ですがこの1曲を聴いて既に買って良かったなと思いました。
ピアノ、ドラム、ボーカル、コーラスというシンプルなアレンジですが、キュートでポップな見事なピアノロックになっていました。
しかも全パート本人による演奏ということで、多彩な人なんだなと思いました。
最初の3つの和音の繰り返し、ユニゾンの出囃子でお馴染みの「絵の具」ですね。
アルバムの曲順の意図なんて作者の心情を答える問題よりも難しいですが、この曲が1曲目なのはそういうことかなって思いました。
「絵の具」の和音はイントロ以外にもちょいちょい入ってました。
原曲でも好きなBメロは、コードが良い感じのアレンジで、ピアノだからコードが聞きやすくてこっちのバージョンでも好きでした。
ちなみにキーは原曲より高くなっていました。
- 2. シューゲイザースピーカー / the pillows
原曲がかなり好きで思い入れもある曲なので、どうかなと思っていましたがカッコいい仕上がりになっていました。
本家よりシューゲイザーを感じました。
まあシューゲイザーっていうジャンルについてなんとなくしか知らないけど(笑)
田淵はピロウズ大好きって言ってるのに全然ピロウズみたいな曲を作らないみたいなことを本人達が言ってましたが、ピロウズがカバーするとかなりピロウズっぽくなっていてビックリしました。
ピロウズの曲もそんなに知らないけど(笑)
キーは原曲より低く、声も太いからユニゾンとは違う雰囲気を感じるのかもしれません。
- 3. 徹頭徹尾夜な夜なドライブ / 9mm Parabellum Bullet
聴けば聴くほど9mmですね、このカバーは(笑)
ドラムがドンドコドンドコ、ギターの音色、ソロでの暴れっぷり等々…
良い意味でダサいという共通点が曲とバンドを繋いでいるなと思いました。
そこを狙って選曲したのかもしれませんが。
キーは原曲より低いです。テンポは原曲より速いです(笑)
「過剰なアレンジを施しました」とのことですが、9mmの通常運転ですね、完全に。
9mmといえばリフがキャッチーという印象があり、この曲は元々キャッチーなリフがあるのでどう来るかなと思っていました。
初めて聴いた時にはこう来たか、と思いました。
是非聴いて確認して欲しいですね。
- 4. フルカラープログラム / a flood of circle
キーが原曲より低く、骨太な感じで、ロックだなぁと思いました。
アレンジとしては、このアルバムの中でもかなり原曲のフレーズを残しているのに、ユニゾンの方はもっとポップに聴こえ、afocの方はロック強めな印象を受けるのはボーカルの声質の違いでしょうか。
ただかなり似合っており、完全無欠のロックンロールを感じました。
それに尽きる気がする。かなりカッコいいです。
- 5. 蒙昧 termination / SKY-HI
斎藤さんと田淵の中高の後輩さん。
カバーというかリミックスと本人が言っているように、歌詞の変更が全曲の中で一番多いです。
まあラッパーなので、それは予想していましたが、こんなにシンプルなバックトラックで来るとは。
打ち込みの音が途中で入ってきますが、ほぼアコギメイン。
リフはそのまんまです。
元々リフものの曲で、メロディーもちょっとしゃべるように流れていく感じだからラップとの親和性が高いのかもしれないですね。
"変化球も続けりゃスタンダードって事さ見りゃ分かんだろ?"って良い一節ですね。リスペクトを感じるというか。
キーは原曲のままです。本人曰く高かったそうです。
"田淵に言っておいて"がどうなっているかは聴いてお確かめ下さい。
- 6. MR.アンディ / BIGMAMA
譜割りや歌詞が結構変わっていました。
特に最後色々付け足されていてビックリ(笑)終わらん!って思いました(笑)
原曲よりキーが低くなっており、演奏もかなりアレンジが加わっていましたが、残っているフレーズもありました。メインのリフとか。
あと、BIGMAMAってこんなにドラム激しかったの?って思いました。
本人の曲じゃないからこそ比較して気づくこともあるのかもしれないですね。
本人の曲だけ聴いているとそれが基準になるので。
これはスゴいなと思いました。
オリジナルとは違い、踊れるアレンジになってます。
初めて聴いた時の感想は「すげえ、場違いで踊れる!」でした(笑)
オリジナルもノリは良いですが、踊れる曲という感じでは無いので。
Aメロの部分のコード進行のアレンジが好きです。
Bメロの"hard day's night"の部分は怪しい感じのメロディーに変わっていました。パスピエっぽい。
意外に思ったのが、パスピエって歌詞聞き取りやすいなって事です。
斎藤さんだと大体何言ってるのか分からないんですよね(笑)
声質的にも歌詞が聞きやすい印象が無かったので驚きました。
ちなみにキーは当然原曲より高くなってます。
- 8. オリオンをなぞる / LiSA
LiSAは田淵の曲をたくさん歌っているので全然違和感無くてむしろハマってましたね。
原キーで来るかなと思っていましたが、上げてきました。
実は僕はLiSAのほとんどのアルバムの音源を持っているんですが、この曲好きって思ったら作曲が田淵だったとかそんなんばっかりなんです。
ずっと聴いてると他の曲も好きになったりしましたが、第一印象で好きになったのは全て田淵の曲でした。
自分の好みがいかにはっきりしているのかがよく分かります(笑)
少し話逸れましたが、アレンジとしてはユニゾンより派手で、よりポップに、ロックに、振り切っているような印象を受けました。
最後には「best day, best way」のメロディーも入れていて、恩返し感を感じました。
椎名林檎のトリビュートでのカバーも良かったし、LiSAは普段から提供してもらった曲を歌っているのでカバーにも柔軟に対応できるのかもしれないと思いました。
- 9. 桜のあと(all quartets lead to the?) / 東京スカパラダイスオーケストラ
イントロというかド頭だけ聴くと何の曲?って感じですが、どんどん盛り上がっていく感じになっています。
構成としては原曲から二番を抜いた感じ。
サビの"明日を生きれるくらいには パン/ ありえない パパン/ 不条理は"というタイミングでクラップが入っているのがいいなと思いました。
最後までずっとインストでいくのかと思いきや、Cメロ後"ワンツー"からの"all quartets~"と歌声が入ってきて、それがなんか歌いたくなって歌っちゃったみたいな感じがしてすごく良かったです。
最後のところも歌っています。
ちなみにキーは原曲より低いです。
- 10. さよなら第九惑星 / クリープハイプ
え、これクリープの曲じゃね?
と思うレベルで自分たちのものにしていましたね。
メロディーや譜割りを一切変えていないのに、本当にすごくマッチしていると思いました。
元々インディーズ時代の曲で僕はあまり音が好みではなく、あまり好きな曲ではなかったのですが、このカバーを聴いて実はメロディーは好きかもしれんと思いました。
原曲キーだと思っていたら、聴き比べたらカバーは半音高く、このアルバムの中で唯一男性ボーカルでキーを上げていてすげえなと思いました。
(Disc2に聴き比べ盤スタジオライブ音源が入っているので比べやすい!)
- 11. シャンデリア・ワルツ / THE BACK HORN
THE BACK HORNの曲はあまり聴いたことがないですが、明るい曲もやるんだって思いました(笑)
原曲がカッコよすぎてストレートに挑みたくなった、と言っている通り、細かい部分のアレンジはあるもののかなりオリジナルに近いです。
ストレートなカバーですが、自分たちの色がしっかり出ているように感じるのは、キャリアの長さからバンドの個性がしっかり確立されているからなのかなと。
キーは原曲より低く、骨太な感じがしました。
- 12. シュガーソングとビターステップ / 堂島孝平
シュガーソングは色んな人がカバーしているのを聴いたことがありますが、これが一番しっくりくるかも。
1年以上前から話を貰っていたらしく、時間を掛けてアレンジをしたらしいです。
堂島孝平の良さを知ってもらいたくて一番有名な曲をお願いした、みたいなことをどこかで見ましたが、他のアーティストでユニゾン側から曲を指定した人もいるのか気になります。
Aメロでは原曲と同じくリズム隊だけが鳴っていて途中からギターが入ってくるのですが、このギターのカッティングが良い感じです。
打ち込みのリズムや、同じく打ち込みでアタック強めなベースは想定内な感じですが、ストリングスの音がこんなに入ってくるのは意外でした。
あと、このダンサブルな曲に子供の声が入ってくるのが斬新。
落ちサビのコードがオリジナルよりもおしゃれな感じがしました。
キーは原曲より低めです。
今回はユニゾンのトリビュートアルバムについて書きました。
全体的に、原曲の良さを残しつつ自分たちの個性を出していくようなアレンジが多かったような気がします。
カバーの場合、あえて全然違うジャンルにしたりすることもありますが、そういうので肩透かしを食らうことが無かったので良かったです(笑)
トリビュート第二段は無いとは思いますが、もしあるのならGRAPEVINEやTRICERATOPSやsumika、NICO Touches the Wallsなんかにも参加して欲しいですね。
トリビュートを聴いて、普段あまり聴かないアーティストについても色々と気づくことがあって面白かったです。
どのアーティストも、お祝いやリスペクトの気持ちを持って楽しんで取り組んでいる感じがしたのも良かったです。
ちなみに初回盤には漫画家等様々なクリエイターによるユニゾンの曲をテーマにした作品が付いていて、珍しいと思ったと同時に、曲からインスピレーションを得てこんな作品が出来上がるのがスゴいなと思いました。
"今日ぐらいは祝ってくれないかな"の言葉通り、何気ない記念日はたくさんの人からのお祝いに彩られた素敵な作品のリリース日になりました。