QUIZMASTER
今回はNICO Touches the Wallsの最新アルバムQUIZMASTERの全曲レビューです。
発売から数週間経ちましたが、その間結構聴きました。
まず思ったのは、世間の流行りとか関係なく自分たちのやりたい音楽をやっているんだろうなということです。
シングルやタイアップ曲が無いことで今までのどのアルバムよりはっきりとしたテーマに沿って作られている気がしました。曲名全て"?"が付いているのも含めて。
なんとなくもっと暗いアルバムだと思っていたんですが、結構ポップな曲もありました。
ちなみに本人達による全曲レビューはこちら→NICO Touches the Walls「QUIZMASTER」インタビュー|答えはなんだ? 全新曲構成の意欲作が示す4人の現状 - 音楽ナタリー 特集・インタビュー
これで大体分かるので僕のレビューいるかなって感じですが、個人的な感想をメインに書いていきたいと思います。
ライブで先行して聴いていた曲もあるので、その時の感想はこちら→MACHIGAISAGASHIに行ってきた。 - ~語りたいっ!!~
改めて音源で聴くと、「ライブでこんな風に感じたなー」みたいに記憶が甦ってきました。
- 1. 18?
今までのアルバムではこういう曲で始まることってなかった気がします。
MVも制作されたし、このアルバムのリード曲ということですかね?
アップテンポでも明るい曲でも無いし、メッセージ性も強いのでこの曲が1曲目だと重いと感じる人もいるかと思います。
ただこの曲が1曲目であることでこのアルバムのテーマがはっきり分かるような気がします。
個人的なお気に入りポイントは何点かありますが、一つはイントロです。
エレキの音とフレーズが好きです。すごくクールなイントロだと思います。
エレキの居場所が無くて苦戦したみたいですが、2コーラス目のカッティングの感じとか、控えめだけどカッコいいと思います。
メロディー的には特にAメロのリズミカルな感じが好きです。
- 2. KAIZOKU?
この曲はカッコいいですね!
出だしの音は2年前のツアーでは手回しサイレンで鳴らしていましたが、今回はディレイを発振させて鳴らしているみたいです。
全体的にクールな曲調に感じますが、その分ギターソロの爆発力が凄いです。
1曲目では控えめだった古村さんが思い切りギターヒーローしてて最高です。
ギターソロに入る前に少し落ち着いて、そこから歪みの増したギターのソロになだれ込むのが気持ちいいです。
メロディアスではなく、非常にエモーショナルなギターソロです。
サビには僕の好物のオクターブのコーラスが入っていて、怪しくカッコいい感じになっています。
- 3. マカロニッ?
これはライブ映えする曲です。
入りのドラムがまずカッコいいです。
ウォーキングベースもカッコいいし、リズム隊がいつもより目立っている感じがします。演奏するの難しそうですね
他の曲にも言えることですが、ライブで聴いたときは初めて聴いたのと、迫力に圧倒されたのもあってどういうジャンルなのかよく分かっていなかったんですが、音源で冷静になって聴くとよく分かりますね!(笑)
これはロカビリーテイストですね。
ライブでちょっとバンジーっぽさを感じたのはそのせいだと思います。
ギターソロもカッコいいし、Aメロの途中で挟まれるギターのフレーズはキャッチーでコピーしたくなりました。
この曲はこれからフェスで大活躍間違いなしの1曲だと思います。
そろそろ夏フェスのシーズンですが、この曲はセトリ入りするはずなので要チェックです!
- 4. ulala?
これは今までのNICOになかった曲調です。
アジアンテイストを意識したけど、ディスコっぽさが強くなっていったとのことです。
確かにサビはダンサブルなリズムになっています。
Aメロでも"理想は百面相 そう そう"とかリズミカルで、初めて聴いた時から印象的でした。
ギターソロは特に東洋感を意識したということで、ライブで聴いた時になんかパスピエっぽいと思ったのはそういうことだったのかなと思いました。
緩い雰囲気だけどリズミカルで、サビのコーラスの和音の感じも相まって浮遊感を感じるような不思議な曲です。
春の曲なので、春のふわふわした雰囲気を表現しているのかもしれません。
- 5. サラダノンオイリーガール?
ロックンロールな出だしから、2本のギターが絶妙に絡み合うキレのあるカッティングに繋がり、ポップな歌い出し、という素敵な始まり方をします。
ベースラインがすごく好きです。弾んだリズムの感じとか、動き方とか。
基本軽快でポップですが、ちょいちょいロックンロールな熱い感じにもなり、Bメロではラップも入ってきます。
歌詞も韻を踏んでいてリズミカルな曲調にマッチしています。
サビのコーラスがキレイで、爽やかな感じなのも好きです。
- 6. MIDNIGHT BLACK HOLE?
少し短い曲ですが好きです。go!go!vanillasのギターの進太郎もカッコいいと言ってました。
ディレイやブリッジミュートの音が印象的です。
初めはミュートした音でクールな感じですが、サビで一気にひらけます。
古村さん曰くサビの爆発力が大事らしいです。このサビがいいんですよね。
2本のギターの音がどちらも好みで、絡み方も好きです。
ラスサビは二回ししますが、2回目でリズムが変化するところとかも好きです。
- 7. 3分ルール?
ポップな曲です。軽快なギターが聴いていて楽しいです。
軽快な曲なので移動の時とかに聴いてテンション上げたりしてます。
メロディーはポップですが、ちょいちょいマイナーコードが入ってきてちょっと切なさも感じます。
"3分後"という繰り返すコーラスのフレーズが曲を印象的に盛り上げています。
Bメロのこのコーラスの音が上がっていくのが、サビに向けて盛り上がっていく感じで好きです。
ちなみにアコースティック版めっちゃ短くてびっくりしました(笑)
- 8. 別腹?
盛り上がる曲が続いて、ここで大人っぽいミディアムバラードです。
僕の好みが多少変わってきているのか、こういう苦味のある曲がここ半年くらいすごくお気に入りなんですよね。
苦味というのは歌詞もそうですが、メロディーのマイナーな部分です。特にBメロが素晴らしいです。
この曲は全体的にコードもおしゃれで大人っぽくて好きです。
バラードではあるんですが、メロディーも含めてどのパートもリズミカルなノリがあって、そういうところも僕の心をくすぐるんですよね。
ただ、全部のパートが1度にそういうノリになるのではなく、バッキングやベースがリズミカルな時はドラムがシンプルだったり、ドラムがリズミカルな時はリードがアルペジオを弾いていたりしているので曲の雰囲気が崩れていないのかなと思いました。
- 9. 2nd SOUL?
こちらもバラードです。ブラックミュージック感を感じます。
1番のBメロからピアノやストリングスも入ってきますが、しっかりとバンドの音と共存している感じで良いと思います。
僕は初めて聴いた時、スガシカオの「春夏秋冬」を思い出しました。
2番が終わった後の間奏のギターがロックで、結構歪んでいるのも良い味が出ていると思います。
コーラスの感じも相まってゴスペルっぽさも感じるんですが、光村さんは歌唱力抜群なのでめっちゃハマってるなと思いました。
こういう曲ももっと聴いてみたいです。
この曲はとにかく光村さんの熱唱に感動しました。歌上手ぇ。
- 10. bless you?
最後の曲もバラードです。
このアルバムの構成は本当に今までのどのアルバムにもなかったというか、そもそもロックバンドのアルバムでバラードが3曲続くなんてことはめったに無いのではないかと思います。
しかしバラードが3曲とも全然違うもので、編曲も含めて曲作りの上手さというか引き出しの多さを感じます。
この曲はシンプルな演奏で、完全に歌を主役としたアレンジという感じがします。
不器用な感じの歌詞とか、光村さんの表現力と合わさって、感情移入したら泣いてしまいそうになる1曲です。
ライブで聴いた時も、本編ラストの曲でMCがあったのもあり、すごくメッセージというか発信されるものを感じたような気がします。
今回もアコ版付きです。(映像は初回盤のアコースティックライブ)
10曲全てが新曲で、しかもアコースティック版も付いているということで全て飲み込むのに時間が掛かりました(笑)
しかし10曲それぞれもそうですが、今までの曲と比べても似た曲が無いのは凄いことだと思います。
NICOには色々なジャンルの曲があって、もちろんジャンル被りは当たり前にありますが、同じジャンルの曲でも違う印象の曲で、NICOらしさは感じるのに今までの曲とは違う。
しかもアコースティックアレンジではまた違うジャンルの曲になっていたりして、改めて引き出しの多さを感じました。
曲によって文章の量に差がありますが、完全に好みに比例しているという訳でも無く、むしろこのアルバム全曲好きです。
EPを2枚作ってアルバムを作るというのは計画していたようで、OYSTER、TWISTER、QUIZMASTERと続いたスターシリーズもこれで完結(?)のような感じなので、この先NICOがどんな風になっていくのかが早くも楽しみです。